SGニュース 3月号
消費生活用製品の製造・供給に係るリスク
管理に関する調査研究説明会について
(財)製品安全協会では、平成10年度から標記の調査研究を実施しており、その調査研究内容を
公開しております。今年度は、去る3月5日及び6日の2日間、東京・機械振興会館と大阪・KKR
HOTEL OSAKAで開催しました。
この号では、標記調査研究の成果物である「消費生活用用製品の安全性に関するリスク管理ガイド」
の概要について掲載します。
なお、両会場とも、前半のガイド作成に関する説明は当協会業務部の越山が、また、後半の特別講演
ー英国のリスク管理実態調査報告ーについては専修大学 教授 上田和勇氏にお願いしました。
消費生活用製品の安全性に関するリスク管理ガイド(概要)
このガイドは、消費生活用製品の設計・製造・輸入・流通・販売に係るリスク管理の基本原則・指針を
提供することを目的としています。
また、重要な用語の定義は次のとおりです。
リスク(risk)
:一般に危害の発生確率とその危害の重大さとの組み合わせをいいます。
このガイドでいうリスクとは、製品安全に関するものであり、消費者に対する製品事故の発生確率と
その製品事故の重大性との組み合わせをいいます。
ハザード(hazard)
:危害の潜在的な源をいい、製品安全の観点からは、傷害、感電、誤飲、有毒性の各ハザード等の
危害の原因をいいます。
リスク管理(risk management)
:リスクを組織的に管理又は調整して、危害、損失等の回避又は低減を図る方策、プロセス、活動を
いい、金融、保険管理等の観点から「リスクマネジメント」の表現が一般的であるが、このガイドでは
製品安全の観点からのものと限定していることから、区分して「リスク管理」の表現を用います。
リスク管理に関する基本原則
〈リスク管理プロセス〉
リスク管理とは、リスクを低減することであり、特に製品の設計、企画の段階では、何度もレビュー、消費者
部門でのチェック、基本コンセプト等の承認などを繰り返し、危険性を最小限に低減していくことが必要です。
ここでは、リスクの低減を基礎としていますが、ハザード(危険源)自体を発生しないように「リスクの回避」を
図ることができれば、回避を最優先すべきです。
リスクとは、「一般に危害の発生確率とその過酷度との組合わせ」をいうことから、リスクの低減とは、
@発生確率(頻度・可能性)の低減、又はA過酷度すなわち危害の程度、影響度等の低減を行うことです。
通常、リスクを完全にゼロにすることは不可能であり、残留リスクは存在しており、この状態は、リスク管理
ではリスクの「保有」状態といいます。リスクを保有するということは、関連する消費者への危害や生産過程で
の欠陥品の発生、リコール等、損害の発生の可能性があることを意味しています。そのため、この状態はリスク
管理責任者が経営上の問題として認知し、責任の分担体制や損害の補填措置等を考えておく必要があります。
〈リスク管理の導入〉
リスク管理体制の導入については、JIS Q 2001が参考になりますが、対象となるリスクと安全管理のための
リスク管理体制は企業の業種、規模や取扱い製品により異なります。
製品の安全性に関する各種のリスク例を大きく分けると次のようになります。
@経営管理面からの製品安全関連リスク
A財務管理面からの製品安全関連リスク
B企画・設計・製造上の製品安全関連リスク
C流通・販売上の製品安全関連リスク
D保全・アフターサービス上の製品安全関連リスク
E他の製品安全関連リスク
〈リスク管理の段階〉
リスク管理の理想とされる体制は様々な文献等でも紹介されていますが、現実には、コスト、時間、責任体制等
の問題から適宜部門ごとに導入したり、全社的とはいえ資産管理時のリスクファイナンスとして導入する場合など
様々です。
また、企業の業種、規模や取扱い製品によって、安全管理のためのリスク管理体制と社内的なリスク管理体制の
在り方の実態と異なります。ここにリスク管理の発展形を示します。
リスク管理の発展形
| (導入前) | 従来からの経験と規制を基礎とした事故防止や損害低減策 |
↓
| リスク管理 認知段階 |
必要に応じて、必要と思われる製品の、必要と思われるリスクを、 必要と思われる時期に逐次リスク管理する。 |
↓
| リスク管理 システム構 築段階 |
リスク管理体制の構築開始 |
↓
| 全社的段階 | 全社的な体制でのリスク管理 |
これらのリスク管理をどのように実行していくか、リスク管理体制の構築段階は次のとおりです
〈対象製品を優先順位化したリスク管理〉
優先順位化された製品や製品群ごとにリスク管理の在り方を体系的に定め、実行していく段階で
この体系は、優先順位の継続的な見直し・実行を意味します。
〈対象リスクを体系的に管理するリスク管理〉
個別の製品特有のリスク及び製品や分野に関係なく生じるリスク(法令遵守、リコール、倫理、風評、
関連会社の管理、広告や情報開示、環境問題等に関するリスク)を各々体系的に管理できる体制を構
築します。
〈責任体制を明確化したリスク管理〉
どのような製品のどのようなリスクを、誰が、@事前に発見し、A欠陥の発生や損害をもたらす事態を
回避し、低減するかのリスク措置を決定・実行、そしてB何らかのトラブルが発生した場合、 いかに速や
かに対応するかについての責任母体や連絡体制の確立を決定していくかということになります。
〈管理体制を明確化したリス管理〉
対象製品と対象とするリスクを特定し、誰がどの段階でリスク措置(この場合は、保有しているPLリスク
等のリスクをどう低減するか)をどこまで行うかの意思決定が重要です。
リスク管理体制を構築する際には、既存のマネジメントシステムを活用し、無駄のない効率的なシステム
を構築していくことが望まれます。
製品安全に関するリスク管理の具体的な指針
管理対象製品を分類・選定、優先順位を決定しハザードの要素を分類すると、危害の重大性の度合と危害
の発生可能性により最終的な判断をする場合のツールとして「リスク対応マップ」を利用することができます。
リスク管理を行うための安全性解析手法として代表的なものは、@FMEA(Failure Modes and Effects
Analysis:故障モード影響解析)、AFTA(Fault Tree Analysis:故障の木解析)、BETA(Event
Tree Analy
-sis:イベントツリー解析)、CHAZOP(Hazard and Operability Studies)、DWhatーIf法、EAHP法(Analtic
Hierarchy Process:階層分析法又は階層化意思決定法)があります。
リスクコミュニケーション
リスクコミュニケーションとは、DRAFT ISO GUIDE 73:2001 Risk management Vocabularyー
Guidelines for
use in standards(リスクマネジメントー用語ー標準のためのガイド)では、
意思決定者と他の利害関係者との
間でのリスクに関する情報の交換又は共有と定義されています。 これは、製品等の提供業者側から受入側への
リスク情報(この場合は製品の安全性・危険性に関する情報を意図する9の一方的な伝達ではなく、相互にリスク
情報を共有すること、特に製品提供業者側から消費者側にリスク情報を開示し、理解を得るためのコミュニケーション
を図ることを意図します。
製品安全に関するリスクコミュニケーションをリスク管理の観点で考えた場合、情報の流れは、そのリスク情報を
交換したり供給すべき当事者間でなされますが、この流れを整理すると次のようになります。
@社内のリスクコミュニケーション
最近の企業不祥事の多発は社会的な問題となりましたが、これらは内部告発によって公になっており、企業倫理
を問われる問題や、品質の不具合があったり、消費者に誤認や誤解を与える可能性があるとわかっていて製品を
供給する場合などは企業内の適正な情報共有により改善されます。
A外部の関係者とのリスクコミュニケーション
関係会社との情報交換・共有、専門家や関連機関との情報交換・共有及び他の関連する利害関係者との情報交
換・共有は、今後必須のものとなってきています。この円滑な実行には、まず自社から関連リスク情報の開示を積極
的に行うことから始まるかも知れません。
B消費者・顧客とのリスクコミュニケーション
一般消費者に対して開示すべきリスク情報とは何か。製造物責任法制定後は、警告表示で消費者に対する危険性
を注意喚起するようになりましたが、この警告表示はその製品が有するリスクや危険性に関する情報の開示とは異な
るものであり、なぜ注意喚起されているか、理由を説明するものではありませんでした。
従来の説明書と異なる個所はハザード情報で、材料情報や材料の特性、徹底が図られていない廃棄情報、合理的
に予見される誤使用、レンタル使用時やリサイクル使用時の危険性等様々なハザードを使用者ごと、使用環境ごとに
詳細に示すことも必要です。
紙面の都合により、専修大学 教授 上田和勇氏の特別講演ー英国のリスク管理実態調査報告
については、来月号に掲載の予定です。
知っ得と、安心。
ー 自転車 〜 手軽だからていねいに乗ろう ー
生活評論家 佐藤 順子
自転車は18世紀半ばに登場し現在に至っていますが、開発改良は工業の進歩に大きく寄与してきました。
多数の部品を組み合わせて作られた乗り物ですが、身近な乗り物だけに扱いが少し雑なところはありませんか?
。
●自転車とは
日常の交通手段、スポーツ、レジャーなどの目的で道路上で使うもの及び幼児が遊技用に使うものを総称して
「自転車」といい、JIS規格が定められており、SGマークでもJIS規格の「一般用自転車」、「幼児用自転車」に整合
させた基準を定めています。一方、乗る側は品質を維持して正しい乗り方をすることが大切になります。
●自転車を購入したら
安全性は組み立ての品質も大切です。2か月を目安に『初期点検』をしましょう。購入店でしてくれます。その後も
1年に1回点検を。なお、購入するときは、体格にマッチした自転車を選ぶこと。たとえば、子ども用の場合、じきに
大きくなるからと足先が床面に届かないサイズの自転車を選ぶなどは危険です。
●ルールを守る
道路交通法を守ること。歩道では、自転車より「人」が優先です。駐輪するときは駅などの出入り口や階段のすぐ側
(そもそも駐輪禁止)に止めると避難通路を塞いでしまい大変危険。点字ブロックの上やポストなどの前に止めるのも
非常識。夜間の安全のために灯火を点灯すること。
●乗るときの注意
前後の車輪のブレーキの作動、タイヤの空気圧、ハンドルや車輪がガタついていないかなどをチェックします。衣服は
裾などがチェーンに巻き込まれないように注意を。特に幼児・子ども用は事前チェックを慎重にしましょう。
いわゆるママチャリでは幼児用座席や買い物かごをセットして使いますが、自転車の安定性を損なう重量を乗せるの
は危険です。適合する荷物などの大きさや重さが『取扱説明書』に書かれていますから、これを守ることです。二人乗り等
も危険。特に中学、高校生ぐらいが二人乗りして、一人がペダルを踏む人のすぐ後に立つなど曲乗りのような乗り方をして
いるのを見かけますが、危険です。フラついて人とぶつかったり、自動車などに接触して事故になりかねませんから。
●走行中は
前車輪が突然止まって弾みで転倒したーという例がありますが、そんな自転車を詳細に観察すると、前ホークが後ろに
曲がったり、スポークの切断や曲がりがみられることから、車輪や前スポークに柔らかな異物が挟まったためのトラブルと
分かるのです。
自転車を消耗品扱いするのは、乗る人を危険にさらすことにつながります。埃を払ったり磨いたりするのは、乗り手側が
する安全管理でもあります。