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第84号 その自転車用ヘルメットは大丈夫ですか?

 今年4月に自転車乗車時に自転車用ヘルメット着用が努力義務化され、また、今年6月には速度20kmまでの電動キックボードでも自転車用ヘルメット等の着用が努力義務化されました。国家公安委員会の告示では、SGマーク付き製品など頭部の保護性能がしっかりした製品が推奨されており、多くの自治体がSGマークやJCFマーク、CEマークなどがついている製品を購入する際に助成措置を設けています。

 SGマーク付き製品が暫く品薄であった時期があったこともあり、CEマーク付き製品が通販などで多数取扱われてきました。しかし、中には、自転車用(欧州規格EN1078 )ではない軽作業用のヘルメット(欧州規格EN812)を自転車用として販売したり、あるいは、該当する欧州規格の記載がない製品が多数出回っていますので、くれぐれもご注意ください。また、CEマーク付き製品でも、取扱説明書がなかったり、日本語のものでなかったりという事例も散見されます。製造物責任法に関する消費者庁のQ&Aの中でも記載されているように、事故防止に関する適切な情報を製造者が与えていなかった場合(表示・取扱説明書の不備を含みます)も製品の欠陥と見做されますので、製品を扱われる事業者の皆様は、特にご注意を頂きたいと思います。

 なお、自転車用のヘルメットは、前に倒れた際に、額と目よりも出っ張っているヘルメットの前面が地面に当たって衝撃を吸収できるように設計されています。しかし、野球用ヘルメットのような固めのつば では衝突の衝撃を吸収することはできず、また、つばが衝突することで頸椎に強い負荷がかかったり、あご紐が強く引っ張らられて首が絞められるリスクがあります。そのような製品は、自転車用としてのSG基準、及び、欧州規格には適合しません。このため、デザイン性をあげるために、ヘルメットの上に帽子をかぶせた製品が出ています。ヘルメットがSG基準に適合し、衝撃を受けた際に帽子部分が安全に外れることが確認できたものは、SGマークの対象となります。既にそのような製品が出ています。


固いつばがあり、転倒した際に危険な製品の例
(類似の製品が「自転車用CEマーク付き」として販売されている事例がある)

頭部保護性能がある帽体に柔らかい帽子をかぶせた製品の例(SGマーク付き製品)

 また、SGマーク付き製品の中には、前面に樹脂製の小さな庇を取り付けたものがありますが、これらについては、衝撃を受けたときに容易に外れる構造であることを確認されたものです。

小さな庇がついた製品の事例(SGマーク付き製品)

 4月以降しばらく続いたSGマーク付き製品の品薄状況はほぼ解消しています。是非とも、安全性と信頼性のあるSGマーク付き製品を選んでいただければと思います。

2023年度