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第89号 SG基準が海外の基準とちがうことがあるのはなぜ?(第2回)

 前回のメルマガ第88号では、社会が製品に対して求める安全性が国内外で異なる事例として、ベビーカーをご紹介しましたが、今回は抱っこひもです。

 抱っこひもは、抱っこしている人が前かがみになったり、身体を横に傾けたときに、子どもが落下する危険性があります。欧米では、保護者が気を付けるべきことと考えられており、製品の欠陥とはみなしません。


出典「抱っこひもの怖い体験」:抱っこひも安全協議会のヒヤリハットアンケートより

 しかし、日本では、抱っこひもから子どもが落ちる事例が2009年~2014年6月までの間に117件、うち、頭蓋骨骨折などの重傷が27件もあり、社会問題化しました。そのような状況の中で、東京都商品等安全対策協議会が調査を行いSG基準の強化などの対策を求めました(2014年)。これを受けてSG基準が改正され(2015年)、うっかり抱っこひものバックルの一つを閉め忘れても子どもが落ちにくい構造を求めることとなったのです。これにより、欧米の基準に適合しても日本のSG基準には適合しない製品が生じました。ある事業者は、追加の付属品により改正したSG基準にも適合する製品を開発し国内で販売しています。

 ISOのガイド51により、製品のリスクは極力本体で削減すべきで、十分に取りきれない場合は追加の安全装置で、さらに表示や取扱説明書により、受け入れ可能な水準に削減することとなっていますが、この「受け入れ可能なリスク」は、製品が使われる社会環境や人々の求める安全のレベルの違いで国によって異なりうるのです。

 また、表示や取扱説明書も、単に言語の違いにとどまらず、製品の使われる環境や社会習慣なども踏まえて、わかりやすいものとしなければなりません。表示や取扱説明書がわかりにくければ、それで製品の欠陥とされる可能性があるのです。

 このような、日本の実情を踏まえて設けられている安全基準がSG基準なのです。製品をお求めの際は、是非、SGマークをご確認ください。

2023年度